UPDATE1: 欧州経済に一時的安定の兆し、大幅な下方リスクも存在=ECB総裁
[アブダビ 19日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は19日、欧州経済の安定化と短期金融市場の機能回復を示唆する一時的な兆候があるとの認識を示す一方、下方リスクがあり状況が悪化する可能性もあると警告した。
アブダビで行われた湾岸協力会議(GCC)加盟国とユーロ圏の中銀総裁との定例会合後に会見した総裁は「水準は低いものの、欧州の経済活動には暫定的な安定の兆候が見え始めている」と指摘。ただ「これらすべては下方リスクにさらされており、一段と悪化する恐れもある」との慎重な見方を示した。
欧州各国の財政規律と構造改革に進展が見られるとして「2012年の欧州の状況は11年に比べて良くなる」と指摘。「ユーロ圏ではこの2つの問題が、断固とした決意の下で現実感をもって対処されている」と述べた。
ECBが実施した期間3年の流動性供給オペについては、一部の銀行間市場が機能し始めるとともに長期金利は低下したとの認識を表明した。こうした長期資金供給策により「欧州の銀行が直面する恐れがあった深刻な資金調達難は、おおむね回避することができた」と述べた。
欧州は、湾岸諸国が国際通貨基金(IMF)への資金拠出などを通じて債務危機解決に貢献してくれることを期待しているが、この日の会合でこの問題が詳細に協議されたかは明確になっていない。
オマーン中銀のアルザジャリ総裁がロイターに対し、同国はIMFへの拠出額を引き上げると述べた。オマーンのIMFへの拠出額は非常に小額。他の湾岸諸国の中銀関係者はこの問題に関して公式に発言していない。
会合後に発表された声明によると、財政規律、競争力、規制による金融システム強化がユーロ圏加盟国には必要との点で見解が一致した。また世界経済における湾岸諸国と新興市場国全般の重要性が高まっているとの認識が示された。