ECB、流通市場でイタリア国債買い支え=市場筋
[ミラノ 6日 ロイター] 市場筋によると、欧州中央銀行(ECB)は流通市場でイタリア国債を買い入れている。あるトレーダーは「午前の流通市場でECBが活発に動いている」と述べた。期間3─10年が買い入れの対象という。
別のトレーダーは、ECBの買い入れを確認したうえで、規模は小さいと述べた。
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<東京市場 6日> ━━━━━━━━┯━━━━━━━━┯━━━━━━━━┯━━━━━━━━━┯ 日経平均 | 国債先物3月限 | 国債319回債 | ドル/円(12:00)| ━━━━━━━━┿━━━━━━━━┿━━━━━━━━┿━━━━━━━━━┿ 8401.32円 | 142.38円 | 0.980% | 77.17/19円 | ━━━━━━━━┿━━━━━━━━┿━━━━━━━━┿━━━━━━━━━┿ -87.39円 | -0.01円 | -0.005% | 77.12/16円 | ━━━━━━━━┷━━━━━━━━┷━━━━━━━━┷━━━━━━━━━┷ 注:日経平均、国債先物前引け、現物の価格は午前11時の値。 下段は前営業日終値比。為替はNY終盤。 [東京 6日 ロイター] 日本株はさえないアジア株の影響が強く弱含みとなってい る。日本最大の輸出先であるアジアの株式が軟調なうちは本格的な反発は期待しにくいと いう。中国が金融緩和などでいつ内需拡大策を本格化させるかが焦点だ。欧州債務問題へ の不安も強く、対ユーロでの円高進行も懸念材料。今後、内外で国債入札が相次ぐため円 債市場では「波乱」への警戒感も強い。 <欧米株よりアジア株に相似> 韓国のサムスン電子(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)は6日、2011年第4・四半期の営業利益が前年比 73%増加し、過去最高に達するとの見通しを示した。スマートフォンの爆発的な売れ行 きが寄与するという。だが同社株の反応は鈍くマイナス圏で推移、総合株価指数.KS11 も午後1時過ぎ時点で1%を超える下落となっている。「アジア市場全体の需給が悪化し ている印象だ」と三田証券株式営業部長の倉持宏朗氏は話す。 午前の上海総合指数.SSECはマイナス圏とプラス圏をいったりきたりの展開だが、 依然として昨年来安値水準で推移しており、本格リバウンドの勢いはない。香港株式市 場のハンセン指数.HSIや台湾の加権指数.TWIIも弱含みだ。 日本株もアジア株への連動性を強めている。5日の米ダウ.DJIはほぼ変わらずだった が、6日前場の日経平均.N225は先物売りを中心に8400円前半まで下げ幅を広げた。 コマツ(6301.T: 株価, ニュース, レポート)やファナック(6954.T: 株価, ニュース, レポート)など新興国関連株が軟調だ。昨年終盤からの日本 株の値動きは徐々に下値を切り上げる欧米株よりもレンジ取引を続ける韓国株などの方が 近い。 株式のアジアリンクが強まっているのは日本経済が同地域への依存度を高めているから に他ならない。 2011年上半期輸出額32兆円のうちアジア向けは57%を占める。米国向けは 14%、EU向けは12%だ。トヨタアセットマネジメント・チーフストラテジストの濱 崎優氏は「日本株はいまや欧米よりもアジアにリンクしている。いつ中国株などが底打ち するかみえないことが日本株の低迷にもつながっている」と指摘する。 中国の最大の輸出先は欧州であり、欧州経済が1つのカギを握っているのは確かだが、 同国の巨大な内需の動向も世界経済を左右する。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁 は昨年12月、北京で開かれたフォーラムで「内需拡大が現段階と来年の経済運営の戦略 的な重点ポイント」と述べた。中国は昨年3年ぶりに預金準備率を引き下げたが、利下げ など本格的な金融緩和策は打ち出していない。 「日本は製造業だけでなく非製造業も中国などアジアへの進出を拡大させている。中国 の内需拡大政策がいつ本格化するかが日本株の先行きも左右する」とトヨタアセットの濱 崎氏はみている。 <円高も日本株の重しに> 日本株にとっては円高も重しだ。対ドルでは80円割れが定着し、ユーロ/円は海外市 場で11年ぶりの安値となる98円台をつけた。1月に入っての急落で下値不安は強まっ ており、東京勢は手が出せない状況だ。トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)の豊田章男社長が5日の賀 詞交歓会で「昨年から『六重苦』といっているが、輸出企業にとってつらいのは円高だ」 と述べるなど企業からは悲鳴も聞こえる。 対ユーロの円高について安住淳財務相は6日午前の閣議後会見で、欧州経済の立て直し は世界経済の行方を左右する問題だと指摘したうえで、ユーロ安の動向を「注意深く監視 している」と述べた。また、ユーロ安は日本経済にとっても、輸出産業への影響が大きい と話した。 6日の東京市場でユーロ/円は動意が薄いが、「ユーロ/円そのものに動意があるとい うよりも、年初の薄商いのなかでユーロの対ドルでの下げが目立ち、それに追随してユー ロ/円も下げ幅を拡大している格好だ」(運用会社ファンドマネージャー)との声が出て いる。 一方、実需筋のユーロ売り遅れも目立っているという。ユーロ/円は昨年10月末のド ル買い介入を受けて一時111円半ばまで急伸し、その後はなだらかに下落した。下落過 程では「(実需勢の)現場はユーロ売りを進めたが、経営陣は反発待ちで売りを止められ るケースが多く、結果としてユーロ/円の大幅な売りそびれにつながっている」(邦銀) という。 <内外で国債入札ラッシュ> 債券市場では内外で今後相次ぐ国債入札に警戒感が高まっている。欧州では前日にフラ ンス国債入札が行われたが、ドイツ以外のユーロ圏ソブリン債は全般的に売り圧力にさら された。「フランス国債入札は無難にこなしたとはいえ、格下げ圧力がくすぶる中で利回 りが上昇しリスクプレミアムが意識された」(国内金融機関)という。来週はスペインや イタリアの国債入札が控えている。 日本でもきょうの流動性供給入札を皮切りに月末にかけてタイトな日程で国債入札が相 次ぐ。3連休や12月米雇用統計も控えていることから6日の円債市場は全般に様子見ム ードとなっているが、来週は米国でも国債入札が続くことから、市場では「来週は日米欧 で相次ぐ国債入札で、各国の信用力格差を確認する週になるのではないか」(国内金融機 関)との指摘が出ている。 実際、落ち着いた相場展開の中で、現物超長期ゾーンの軟調ぶりが目立っている。20 年超長期国債利回りが前日比0.5bp高い1.755%、30年超長期国債利回りが同 1bp高い1.925%に上昇した。超長期ゾーンは昨年末から地方・中央を問わず、継 続して小口の売りが観測されている。政府・与党は6日、社会保障と税の一体改革素案を 正式に決定。国際公約となった消費税増税を柱とした内容となったが、与野党協議が難航 することが予想され、消費税増税関連法案の成立に向けたハードルは極めて高い状況だ。 昨年末に決定した2012年度国債発行計画で、20年債は月1000億円の発行増額 が決まっている。市場では「1月国債入札ラッシュを前に、徐々に財政プレミアムを意識 する動きになっているのではないか」(国内金融機関)との声が出ていた。 (ロイターニュース 伊賀大記;編集 宮崎亜巳)