政府・日銀、イラン制裁で米財務長官の訪日注視、邦銀制裁回避求める
[東京 5日 ロイター] ガイトナー米財務長官が10─12日に中国と日本を訪問すると発表したのを受け政府・日銀関係者はイラン制裁をめぐる協議の行く末を注視している。日本は原油輸入量の約1割をイランに頼っており、米政府が制裁対象とするイラン中央銀行と取引のある金融機関には日銀や3メガバンクも含まれるためだ。
オバマ米大統領が12月31日署名した対イラン制裁法案は核開発疑惑のあるイランの中銀と取引する外国金融機関に対して制裁を科すもの。原油に関連する取引については180日、原油以外の関連取引は60日の猶予期間がある。ただイラン産原油の突然の調達停止が米国の安全保障上問題となる場合や、イラン産の輸入減が原油価格の高騰をもたらす場合などは一定期間の猶予が与えられる内容となっており、法案の具体的な運用をめぐっては不透明な点がある。
日本はイランから年間8000億円程度の原油を輸入しており、イランにとっては中国とインドに次ぐ3番目の輸出先。日本政府としては、緩やかに他国からの代替に切り替えるため一定期間の猶予について理解を求めると同時に、経済制裁を効果的なものとするため中国・インドに対しても米国が協力を要請するよう期待している。イラン産原油の出荷停止による原油価格の高騰がインフレなど世界経済に引き起こすリスクについても米国に慎重な検討を促したい考えだ。
国内の石油元売り業界は現在のところ四半期ごとのイランとの原油価格交渉を予定通り2月末から3月上旬にかけて行う予定。ただし、米政府の判断次第で邦銀がイラン中銀との取引を停止すれば決済不可能となる。日本からイランへの輸出は自動車や機械・プラントなど年間1500億円規模程度あり、こちらへの影響も現時点では不透明。イランは核開発疑惑でドルやユーロでの決済ができないため輸出に占める円建て比率が高い点も、今後の論点だ。
石油業界関係者によると、北朝鮮産のマツタケやシメジが中国・ロシア経由で出荷されている、とされるように、第三国経由のイラン産原油の流れを米国がどこまで追跡するのかも未知数とされているようだ。
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